株式会社 琉球銀行 様

デジタル人材育成のため全行員のITリテラシーを可視化
ITスキル向上と文化変革の両輪で取り組みを推進
Topics
導入前の課題
選定の決め手
受検負担が軽くマインド測定もできるIIJのソリューションを選定
人材アセスメントサービスの選定は、どのような手順で進めたのでしょう。
長嶺氏
当初は20社ほどを候補に挙げ、7~8社を本格的に検討していきました。その中で、IIJのDX人材アセスメントソリューションが最も求めている条件に合致していました。短い時間で済むことによる軽い受検負担やアセスメントで取得できる情報の種類、コストなどが、当行にとって最もバランス良く提供されていたのです。
新城氏
営業店の行員も受検するため、受検負担はかなり気にした点でした。30分以内で受検できるサービスを探していたところ、IIJのDX人材アセスメントソリューションでは40問、約20分で受検が完了することが分かりました。
IIJのDX人材アセスメントソリューションで、他に魅力的と感じた点はありましたか。
新城氏
ITリテラシーの測定に加えて、イノベーター理論に則ったマインドの測定ができる点です。イノベーター(革新者)、アーリーアダプター(初期採用者)、アーリーマジョリティ(前期追随者)、レイトマジョリティ(後期追随者)、ラガード(遅滞者)の5つに分類することで、各行員のDXに対するマインドを可視化し、課題の深掘りに役立つと考えました。その上で、レポートにて診断結果をもとに会社全体としての現状を可視化し、今後の対策を一緒に検討してくれるため、心強かった印象です。
アセスメントの実施はスムーズに進みましたか。
長嶺氏
2024年8月に実施しました。回答率は9割以上を目標にしていました。最終的には約97%まで回答率を高められました。現場から不満の声などは聞こえてこなかったので、負担も少なく実施できたと考えています。
導入効果
リテラシーとマインドの現在地を知り地道に施策を展開
アセスメントの実施では、どのような現状や課題が見えてきましたか。
長嶺氏
現実は予想以上に厳しいものでした。ITリテラシーの点数は、業界平均よりも低く、イノベーションマインドは約9割がレイトマジョリティとラガードととても保守的でした。
新城氏
アセスメントの実施後、IIJからレポートをもらって独自の分析も進めましたが、営業店と本部に差があった他は大きな傾向はありませんでした。すなわち、全体的にITリテラシーの向上が必要だということが判明したのです。
長嶺氏
一方で、興味深い結果もありました。数年前からITパスポート試験の資格取得を推進してきたのですが、合格者はITリテラシーの点数やマインドが明らかに高い傾向がありました。ITパスポートの取得はITリテラシー向上に効果があることが数値で分かり、社内ニュース情報でもIIJのアセスメントの分析結果を示しながら資格取得の推進を発信しているところです。
ITパスポート以外に、リテラシーやマインドの向上に向けた施策は実施していますか。
新城氏
全体の平均点数が低かったため、まず全行的に基礎的なITリテラシーの強化が必要だということが分かりました。そこで2025年度から、「デジ活」という内製のテストを毎月実施しています。毎月、Microsoft TeamsやOutlook、セキュリティなどのテーマを決めて10問の出題をするものです。部店ごとに点数を集計して1位~3位には賞金を出しています。盛り上がっている部店も出てきており、問題に触れることで意識が高まることに期待しています。
長嶺氏
「本部企画人材」に向けても、プロジェクトマネジメント力やデータ活用力、デザイン思考力などに関する研修を実施していく考えです。さらに、2025年9月には「データ活用研修」を実施し、データ活用の基礎を学んでもらいました。
新城氏
データ活用研修についても、複数社に話を聞きました。Pythonの活用といったレベル感ではなく、Excelレベルのデータ活用を目指し、データ蓄積やデータクレンジングの重要性などの研修をしようと考えたところ、ここでもIIJの研修の提案がマッチしていました。実施後のアンケートでは、有益度も理解度もかなり高い数値でしたが、フリー回答欄では「少し難しかった」「分からない関数があった」といった声もあり、レベル感の設定の難しさを感じているところです。

その後の施策
施策から効果測定までのサイクルを構築しデジタルカルチャー定着へ
施策の効果測定はどのように実施していきますか。
新城氏
2025年10月に、改めてアセスメントを実施する予定です。少しでも前回より良い結果が出ることに期待しています。
長嶺氏
基本は年1回のアセスメントの実施を想定しています。効果測定の継続性も考慮し、2025年もIIJのアセスメントを採用します。今回は、リテラシーとマインドに加えて、デジタルカルチャーについての測定ができる「IIJデジタルカルチャー可視化ソリューション」を導入します。1年間の施策の効果を可視化すると同時に、デジタルカルチャーについても可視化して発信方法の変革につなげていきたいと思います。
今後のDX推進について、考えをお聞かせください。
新城氏
デジタル分野の進化のスピードは速く、行員が情報収集を意識的に進めるようにマインドが変わることに期待しています。現状に満足せず、収集した情報を生かして、デジタル化が推進できるようになるといいと思います。
長嶺氏
アセスメントと研修などのサイクルからデジタル人材が増えていけば、各部署に配置することも可能になります。現場がデジタル化によって効率化されて、お客様の支援がより良くできるようになる理想に向けて、リテラシーだけでなく、マインドやカルチャーの変革を進めていきます。IIJはコンサルティングにも取り組んでいると聞いており、今後のDX推進についてさらに相談できるパートナーであってもらいたいです。
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール
株式会社 琉球銀行
本店:沖縄県那覇市東町2番1号
設立:1948年5月1日
資本金:569億6,700万円
従業員:1,417人(2025年3月31日)
※ 本記事は2025年9月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
デジタル人材育成には行員のITリテラシーの可視化が必要
琉球銀行のDXへの取り組みについて教えてください。
琉球銀行 デジタル業務革新室 長嶺伸氏
銀行のDXは、行内業務のデジタル化で生産性を向上させるだけでなく、地域のお客様のデジタル化をお手伝いする役割もあります。地域の成長・発展がないと、銀行も成長できないためです。銀行のデジタル化やDXは不可欠だと考えています。
総合企画部 デジタル業務革新室
室長
長嶺 伸氏
琉球銀行 デジタル業務革新室 新城航太氏
営業店では事務量が多く、紙を使った業務も多く残っています。業務変革のため、2023年4月にはデジタル業務革新室という専門の組織が設置されました。2025年7月には次世代CRM/SFAシステムが稼働し、継続的な業務変革に取り組んでいます。
総合企画部 デジタル業務革新室
新城 航太氏
デジタル業務変革室では、デジタル人材育成についてどのような取り組みを進めましたか。
長嶺氏
まず、デジタル人材の定義をしました。デジタル人材としては、業務で使うデジタルツールを使いこなせる「ベース人材」、システム導入やデータ利活用ができる「本部企画人材」、取引先のデジタル化を支援する「事業者IT支援人材」、インフラ整備などに携わる「ITシステム専門人材」の4つを定義しました。
その上で、それぞれのデジタル人材像に適したスキルを身につけてもらうデジタル人材の育成計画立案を進めました。
人材育成を進めるに当たって、課題はありましたか。
長嶺氏
デジタル人材の育成を進める上で、まず琉球銀行のデジタル化における道のりの「現在地」の把握が必要でした。一方で、人材定義の「ベース人材」は全行員が対象であり、全行員のITリテラシーを把握する必要があります。そのため、人材アセスメントのサービスを利用することにしました。そうしたサービスは数多くありますが、全行員を対象にするためできるだけ受検負担が少ないことを条件にしました。